ドントウォリー！

（「出前牧師かんちゃん」こと、菅野直基さんの体験談です）


１、　「道路の草むしり」から「そば屋の出前」へ

初めてしたアルバイトは、「幹線道路の草むしり」の仕事でした。

毎晩家に帰ると、排気ガスで顔が真っ黒になっていました。

次は、アルバイトニュースで、「そば屋の出前」の仕事を見つけました。

「時給８００円、食事つき、交通費全額支給」

１６歳の私には、まあまあの条件でした。

ある日、バイクで出前に行った帰りに、強引に献血のお願いをされました。

良いことだと思って、私は快く引き受けました。　

「ずいぶん遅かったけど、何かあったのか？」　

店に戻ると、店長から聞かれました。　

「献血を頼まれたので、献血してきました」　

私は正直に話しました。

「バカ者！　首だ！　明日給料を取りに来い！　すぐに帰れ！」　

店長は真っ赤な顔をして私を怒鳴りつけました。

即日、首になりました。


２、　「魚屋の出前」へ、そしてまた「そば屋の出前」へ

初めのうちは落ち込んで、「なんであんなバカなことをしたのだろう」と自分を責めました。

しばらくして立ち直り、今度は、六本木の麻布十番の「魚屋の出前」をしました。

鮮度が勝負の魚屋の仕事は、とても忙しく働かされました。

「君は仕事が遅いから辞めてもらう！」

一か月後にこう言い渡されました。

また首です。

しばらく落ち込みましたが、また気を取り直して、今度は、虎ノ門の「そば屋の出前」をはじめました。

ここの店長は私をかわいがってくれました。

近所にあったテレビ東京の芸能人や歌手の楽屋から注文が入ったりして、率先して楽しく出前をしました。　

「毎度どうも！」　

元気よく届けた時にお客さんが喜んでくれると、本当にうれしくなりました。

出前の仕事をしていて良かったなー、と何度も実感しました。


３、　今では、「出前牧師カンちゃん」へ！

それから約２０年が経ちました。

今では「出前牧師カンちゃん」を名乗って、牧師の出前をしています。　

では、「出前牧師」とは、一体何を出前するのでしょうか？


多くの教会は日曜日しか開いていません。　

「一年中毎日２４時間オープンしている教会があったらいいなあ」と思う人がたくさんいるでしょう。

「教会で待っているのではなく、自分から出て行って『福音の出前』をする牧師になろう！」　

ある時こう考えました。

早朝に、「出前牧師かんちゃん」と印刷した、たすきをかけ、のぼりを立てて、最寄りの駅前に立ちました。

乗降客に福音文書を配布します。　

「おはようございます！」　

明るく大きな声であいさつをして、ギターを弾いて、短いメッセージをします。

最初のうちは、誰からも相手にされませんでした。

そのうち、乗降客のみなさんが「出前牧師カンちゃん」を好意的に受け入れてくれるようになりました。

聖書について質問されたり、悩みごとを相談されることもあります。

何十人もの方が、私を訪問してくれたり、私の教会の礼拝に参加してくれるようになりました。


４、　洗礼式を「マック」で！？

『全世界に出て行き、すべての造られた者に、福音を宣べ伝えなさい』　（マルコによる福音書１６章１５節）　

「あなたは人々の中に出て行って伝道しなさい」ということです。

私は駅前に出て行って、通勤する方々に福音をお届けしています。

「教会には行きにくいけど、牧師に自分の悩みを相談してみたい」 という人に出会います。

その人と一緒に、焼肉屋、ファミレス、ハンバーガーショップや喫茶店に行ってお話しします。

ひたすらその方の悩みや相談ごとに耳を傾けます。

全部聞いた後で、私なりの考え方を聖書から語ります。

「えっ！？　聖書にはそんなにいいことが書かれているのですか？」　

驚いて聞き返してきます。

「そんなにすばらしい神さまなら、私もイエスさまを信じたい！」　

と言ってくれる人もいます。

さらに驚くべきことが起きることがあります。　

「今ここで洗礼を受けてもいいでしょうか？」

と言う人までいるのです。

すぐにウエイトレスに水を持ってきてもらって、その場で洗礼を授けます。

新大久保の焼肉屋さんで洗礼式を行いました。

お茶の水のマックでお話していた相手の人が、「今、洗礼を受けたい！」と言いいました。

その場で洗礼を授けました。

側にいたお客さんが感動し、「これ、お祝いです。食べてください！」と言って、アップルパイをプレゼントしてくれました。

そのお客さんは、クリスチャンではありませんでした。

「イエスさまを信じて、洗礼を受ける」ということは、それほど感動的ですばらしいことなのです。　

「神の永遠のいのち」を授かり、「天国行きのパスポート」　をいただくことなのですから。


５、　「レストラン」が教会？　

『教会』という聖書の言葉のギリシャ語原語は、『エクレシア』です。　

『神から選び出された者の集まり』という意味です。

神を信じる人々の集まりが教会なのです。

神を信じる人々が２、３人集まって、聖書のことを語り合うならば、レストランでも、喫茶店でも、家庭でも、そこがそのまま「教会」です。

私は福音を出前しているだけではなく、出前先で教会の働きを行っていることになります。

出前先で、聖書のことばを語り、洗礼を授け、病気がいやされるように祈ったりしているからです。

会社の応接室や法律事務所の会議室でも、洗礼を授けました。

昨年（２０１０年）は、六本木ヒルズにあるホテル・グランドハイアットのレストランの朝食会で、１０人のビジネスマンの方々の洗礼式を行いました。


６、　あなたの過去はすべて生かされます

幼い頃病弱だった私は、今「いやしの働きをする牧師」となっています。

宗教的、律法的に親から信仰を押し付けられて反発していた経験が、今「自由と愛に生きる牧師」となっています。

いじめられっ子といじめっ子の両方を経験した私は、その両者の気持ちを理解し、「いじめに苦しんでいる人たちを助ける牧師」になっています。

私は自殺寸前にまで追い込まれましたが、「自殺したい人を救う牧師」となっています。

２０歳の時、芸能界にスカウトされた私は、歌手になる道をあきらめ、神さまの導きに従って牧師になりました。

今の私は、毎週の礼拝や数々の大きな集会で賛美をリードし、月に何度かは駅前で路上ライブをする、「演奏しながら歌う牧師」となっています。

かつては、そば屋や魚屋の出前をしていましたが、今、「出前牧師カンちゃん」を名乗って福音の出前をしています。

こうして、私の過去は何一つむだではなく、すべての体験が生かされていています。

神さまによって私はすばらしい人間として造られ、「神さまから私はあるがままで愛されている」ことを、日々発見しています。


７、　あなた自身のすばらしさに目覚めましょう！

聖書によると、あなたは神さまに造られたのです。

神さまにそっくりに造られたのです。

決して、あなたはアメーバから進化して人間になったのではありません。

初めから特別な個性を持ったすばらしい人として、造られたのです。

バラにはバラの美しさがあり、ひまわりにはひまわりの美しさがあり、桜には桜の美しさがあります。

あなたが本物のあなたであるからこそ、本当にすばらしいのです。

私はアメリカの神学大学を卒業して博士号まで取ったのですが、実は英語がからきしダメなのです。

そんな私ですが、ある時大学の「英語のスピーチコンテスト」に挑戦しました。

講壇に上がったら、大勢の人を目の前にして、初めからしどろもどろでした。

途中から必死で身振り手振りの「ボディランゲージ」になってしまいました。

もう汗だくでガンバリました。

私の英語のあまりのヘタさとボディランゲージのあまりのコッケイさに、会場は、爆笑に次ぐ爆笑でした。

当然ビリで失格だと思いました。

ところがです。

なんと、コンテストで優勝してしまったのです！　

まさかと思い、心から驚きました。

英語がヘタなために、私の特別な個性が生かされて、それがかえって「すばらしい！」と評価されたのです！

人と競って　「ナンバーワン」を目指すこともよいことです。

でも、　「オンリーワン」を目指した方がいいですね。

本来のあなた自身になり切っていくことが、あなたの本当のすばらしさです。

「自分が自分であること」に生きがいを見出すことができたら、こんなにうれしいことはありませんよね。

これまであなたが歩んできた道の中に、ヒントがあると思います。

あなたの過去は、すべて生かされるのです。

あなたは、「特別にすばらしい人」として造られています。

そのすばらしさを通して、神さまは、あなたに自信を与えてくれます。

過去の傷をいやし、やりがいと生きがいを与えてくれます。

あなたは愛されるために生まれたのです。

あなたは幸せになるために生まれてきたのです。

劣等感のかたまりだった私は、今、自分の個性に目覚めて本当に幸せです。

どうか、あなた自身の特別なすばらしさに目覚めてください。



参考　・・・　ノーマン・ヴィンセント・ピール牧師　短編メッセージ

　　　　　　　http://www.7b.biglobe.ne.jp/~hiraku/message.htm