「悩まない力」

アブラハムささき

2016年07月14日 14:44



「悩む力」

(元東大教授・姜尚中氏著、集英社刊)

が100万部を越えるベストセラーになっている。


「人間には悩む力がある」

「自分は今まで悩みに悩み抜いてきた」

「自分でこれだと確信できるものが得られるまで悩みつづける。

あるいは、 それしか方法はないということを信じる」

「それが 『信じる者は救われる』 という意味ではないか」


しかし、 姜氏のようにもともと思考力が秀れた少数の人たちを除いて、

ふつうの人は悩みに悩んだら、 精神や身体にだけでなく、

人間関係にも大きな支障をきたしてしまうのではないだろうか。

かえって、 間違った判断をし, 間違った行動に走ってしまうのではないだろうか。


問題がこじれて相手から訴えられた方の弁護を頼まれた。

生まれて初めて被告にされたその人は、

悩みに悩んで夜も眠れなくなってしまった。

やがて不眠症からうつ病になり、 いくら薬を飲んでも病状はますます悪化し、

昼夜を問わず家の中を歩き回って何かつぶやいている。


「あなたがいくら悩んでも解決するわけではありませんよ。

どうか裁判のことは弁護士にまかせて、 気を楽にしてください。

ご家族と温泉にでも行かれたらどうですか?」

と言っても、 まったく聞く耳を持たなかった。


「穏やかで明るく生きてきた主人が、

ひどく変わってしまったことが信じられません。

このままでは家庭が崩壊します。

何とかして助けてください!」


奥さんから悲痛な懇願を受け、

とりあえず、 新約聖書の文庫本を差し上げた。

「これをご主人に読んでもらってください。

問題について悩むのをやめて、

神にすべてをゆだねたら楽になりますよ」

その後、 家族の強い勧めにより、 彼は精神病院に入院することを承諾した。


「おかげさまで、 すっかり元気になりました。

あんなに悩んできた大問題が、 心が正常になってみると、

なんとかなると思えるようになりました!」

3か月後に退院した彼からうれしい報告を受けた。

入院中にむさぼるように聖書を読み、

すべてを神にゆだねることにしたら、

悩みが消えてしまったそうだ。

自信を回復し健全な思いで問題に取り組んでいく力を得たのだ。

「一年ぶりで主人に笑顔が戻りました!」

奥さんがとても喜んでいた。


子どものように天の父を信頼して救いを求めることが、

悩みを解消し、 あらゆる問題を解決する秘訣である。


悩みに悩んで問題を乗り越えていく。

必ずしも悪いことではないが、

人間の知性による解決には究極の救いはない。

せいぜい、 限られた知性と知識に基づく、

多分に間違いを含む歴史観、 政治観、 人生経験等から導き出された、

その場限りの処世術にすぎない。


放蕩息子が人生に失敗して悩んだ末に、

父の元に帰って救われたように、

私たちも悩みを通して父なる神の懐にたどり着いて初めて、

永遠に至る本当の救いを得るのである。


この悩みに満ちた世にあって、

「悩まない力」

は神 (の言葉) からくる。

天の父は子どもたちのことをいつも心配して、

真剣に思い悩んでくださっているからである。


私たちを究極的に救うために、

御子イエス・キリストを十字架に磔けにした父なる神の愛は、

あらゆる苦悩の極致である。


・・・  「何事も思い煩らってはならない。 ただ、 事ごとに、、、

あなたがたの求めるところを神に申し上げるがよい」

(ピリピ4:6)

・・・  「あなたがたの思い煩いをいっさい神にゆだねなさい。

神があなたがたのことを心配してくださるからです」

(第一ペテロ5:7)

・・・ 「彼らのすべての悩みのとき、 主も悩まれて、、、 彼らを救い、、、」 

(イザヤ63:9)